前回の続き。

少し時間が経ちましたが、国立工芸館についての続き。前回は、「第九師団司令部庁舎」と、「金沢偕行社」をつなげて構成されていると、お話しました。

今回は「前回の続き。」として、国立工芸館(正式名称:東京国立近代美術工芸館)建物の概要と、どのように移転・移築されたのかについて少しお話します。

20201025OPEN東京国立近代美術工芸館のポスター

「国立工芸館」は、2020年10月25日にオープンした工芸を専門とする美術館です。
日本海側初の国立美術館が誕生しました。
金沢市に移転しても、正式名称は「東京国立近代美術工芸館」となります。石川県への移転に伴い「国立工芸館」を通称として使用されます。

「第九師団司令部庁舎」と、「金沢偕行社」を並べて、エントランスホール介して、2館をつなげて構成されています。1体の建物として設計及び解析され、申請されました。
それぞれの既存建物は、明治に建てられた「登録有形文化財」に登録されている木造建築。
有形文化財の国立工芸館_建物構成図


突然ですが、「国宝、重要文化財」と「有形文化財」の違いはご存知ですか?

有形文化財のうち、重要なものを「重要文化財」に指定し、さらに世界文化の見地から特に価値の高いものを「国宝」に指定して保護を図っています。

これらの国宝・重要文化財建造物を後世に継承していくためには、適切な時期に様々な保存修理が必要です。我が国の歴史的建造物はほとんどが木で作られており,茅や檜皮のような植物性の屋根を有するものも多く、火災に対し極めて脆弱です。このため、防災設備の設置に補助を行うことなどによって保護を図っています。

一方、「有形文化財」は、保存及び活用についての措置が特に必要とされる文化財建造物を、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録する「文化財登録制度」が導入されました。
この登録制度は、近年の国土開発や都市計画の進展,生活様式の変化等により、社会的評価を受けるまもなく消滅の危機に晒されている多種多様かつ大量の近代等の文化財建造物を後世に幅広く継承していくために作られたものです。届出制と指導・助言等を基本とする緩やかな保護措置を講じるもので、従来の指定制度(重要なものを厳選し、許可制等の強い規制と手厚い保護を行うもの)を補完するものです。(引用:文化庁HP)

端的に言うと、「重要文化財」は保護することが義務付けられており、構造や建材を含め、なるべくそのままの状態で保存してください。それに対し、「有形文化財」は外観(見た目)をそのまま保存しつつ、建物自体は現在の建築基準法に準じてくださいというもの。
10/25にオープンした国立工芸館_ファサードの写真
外観だけでなく、構造材等も既存部分をどれだけ生かし残すのかを、相当検討されたそうです。
ですが、美術館である以上、火災や地震にも強く、安全な建物でなければいけないし、作品を保管・保存のため湿度や温度調整、外部からの日射にも留意が必要でした。そのため、木造と鉄筋コンクリート造とを組み合わせて建築されています。

その中で、柱や梁はなるべく残して、強度をひとつ一つ確認しながら、朽ちた部分は新しいものと接いで使用し、既存建物の構造部分50%ほどは以前からの古材を使っているそうです。そうして残した技術も素晴らしいですね。
国立工芸館と生まれ変わった建物はもちろん、有形文化財の登録はそのままです。

文化財指定庭園_特別名勝_兼六園_雪吊り紅葉

いかがでしたか。
今回は、「前回の続き。」として国立工芸館の建物についてお話ししました。
古い建物を残すことも、活用することも、大変な労力がかかっています。
工芸品に興味はなくとも、夜はライトアップをしていますので、兼六園の冬の雪吊りライトアップを見た帰りにでも、ぜひ明治の建物を眺めに行ってみてください。


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